ワインには、様々な個性の中から自分と相性の良いものを探す楽しみがあります。ブドウ品種は世界で約5000種存在し、ワインに使われるのはその内1000種、さらに代表的なものが300種。ワインを深く知るには100種ほどの品種名を覚える必要があります。
ワインの個性は育った土地の特徴です。理想的なブドウ畑の条件は、昼夜の寒暖の差があり、雨が少なくよく日に当たり、緩やかな傾斜の南東向きの畑と云われています。なぜこれらの条件が必要なのでしょうか。ブドウの甘昧は夜間に生成されます。根から吸収された土の養分は葉へ運ばれ、昼間の日光で葉が光合成を行い、できた栄養分は主に成長に使われます。夜間の温度低下で樹は眠り、栄養分は果実の糖分にまわります。朝を迎えると畑の温度上昇が始まり、よく冷えた果実に水滴がついてしまいます。この水滴がいつまでもあるとカビの原因となるので、乾燥させる為にも、いちはやく日光を必要とします。
また、土の状態も大切な要因です。ほっこりと柔らかく、微生物が活発で、水捌けの良い土壌が理想です。肥料や農薬に頼る程、土壌本来の力を失わせてしまいます。女性の肌の手人れに美容液を使い始めると手放せなくなるのによく似ています。一方で天候に振り回される農家さんの苦労を思うと、無理なく続けられる方法の選択をして欲しいと願わずにはいられません。
ブドウの樹の栽培は種からではなく、優秀な果実を実らせた樹から枝分けし、虫に強い根を持つ台木に接木をすることで増やしていきます。質が安定してくるのは樹齢が20年を超えてからと云われています。
これらは良いブドウの果実を得るための条件のほんの一部です。それぞれの品種は育ちやすい相性の良い場所を選びます。ワインを美味しく感じる時は、そのブドウの生い立ちに、更には造り手の想いに共感しているのだと私は考えています。憧れのワインも身近なワインも、親しい方々と一緒に飲むことで、日々の生活がより豊かになりますように。